教育と経済 若者手取りup、企業は増税
大学生の半数が総額約310万円を借り、月に1.5万円(平均15年)かけて返済する。これが今の教育の実態
です。(日本学生支援機構「令和4年度 学生生活調査」)
奨学金に男女差はありませんが、賃金に男女差があるのも事実です。20代前半の大卒女性の平均年収は約278万円。
(厚生労働省「令和4年 民間給与実態統計調査」)
奨学金返済は、月に1.5万(年に18万円)ですから年収の6%相当。この場合、住民税が約10万円、所得税約5万円、社会保険料約40万円となり、実際の手取りは年200万円程度になるでしょう。毎月17万円で生活し、家賃や光熱費・通信費、食費などをやりくりするわけですから、ここ最近の物価高はさらに追い打ちをかけるものとなります。 汗をかいてまじめに働いても、実質賃金はマイナス・・・私も予算委員会で岸田総理と議論しましたが、少子化の一番の原因としてあがっているのは「お金」経済的理由によるものです。
この解決策を本気で見出さなくてはなりません。
その鍵の一つになる事例を今回は紹介します。
◆企業による奨学金代理返還制度
日本学生支援機構が、2021年から始めた取組みです。企業が、社員が負っている返済額の一部または全額を機構に直接送金することにより、社員を支援します。企業が応援した金額分は、社員の給与とは別に返済額として扱われるため所得税は非課税。原則として、社会保険料を算出する報酬にも含まれません。よって、若者にとっては年18万円の奨学金返済が不要となり、手取りが約9%程度増えることになります。
一方、企業としては、応援額は経費と認められる場合、損金として計算できるので、法人税の課税対象所得を軽減できる可能性があります。加えて、「賃上げ促進税制」の対象となることから、最大で45%の税額
控除を受けることができるようになります。
◆全国2000社、福島県内僅か4社
全国で2000社以上導入されたこの制度ですが、福島県は僅か4社。制度があっても導入されなければ、現場はいつまで経っても良くなりません。
ぜひ福島県内はもちろん全国の企業経営者や人事担当の皆さまに、こうした支援策の導入を検討いただけたら幸いですし、学生の皆さまもこういった会社にぜひ注目していただきたいです。そして私も、若者が将来に希望を持てる社会をつくるために視野を広く活動してまいります。若者が躍動し、会社も元気に!!
2024.8.11 衆議院議員 馬場雄基