選挙から読み解く 世界情勢
日本ではGWの中、世界では国際秩序の行方を左右する選挙が相次いで行われました。私たち日本もその変化の中にあり、一挙手一投足が問われています。
■カナダ 支持率10%台からの大逆転(4/28)
物価高騰や住宅不足などを背景に、昨年12月時点の支持率が10%台と低迷し、政権交代が不可避とみられていた与党・自由党が第1党を維持する波乱の結果となりました。トランプ氏がカナダを「米国の51番目の州」と呼ぶなど圧力を強めたことに対し、カーニー首相が毅然と対抗姿勢を示したことが、愛国心を喚起し与党への追い風となりました。カーニー氏は、「米国と統合をめざす古い関係は終わった」と述べ、過度な依存を見直す考えを示しています。
■オーストラリア こちらも大逆転(5/3)
3日、アルバニージー首相率いる労働党(与党)は、大方の事前予想と反して勝利。野党は、長引く物価高や住宅の高騰を受け、支持率をあげていました。しかし、移民受け入れの大幅制限や多様性の廃止等、トランプ政権に似た極端な政策を掲げたことで、結果として大敗。政権が維持され、太平洋での影響力を強める中国に対抗する、豪英米の安全保障パートナーシップのAUKUS、日米豪印4ヶ国による枠組みのQuadを重視した取り組みの継続が見込まれます。
■シンガポール 一党政権体制の継続(5/3)
建国以来60年続く与党・人民行動党(PAP)が勝利。ウクライナやガザでの戦争、サプライチェーンの混乱などの外的要因や、米中の貿易戦争や関税措置が迫る中で、政府が掲げた「安定」を求めるメッセージが、経済への懸念を抱える有権者からの信任を得た形です。ウォン氏は政権を握って最初の選挙で得票率を上げた初のPAP首相となったことも注目されています。
■ドイツ 戦後初の再投票で選出の首相(5/6)
首相指名選挙で、戦後初の「再投票」が実施されるなど、連立基盤の弱さが露呈する異例の事態となっています。2月の選挙では、反移民を掲げる極右政党が第二党に躍進するなど、国内の景気不安が「強いドイツ」を望む国民感情の高まりとなって表れています。
■日本 国内景気を乗り越え世界の番頭に
国際秩序の安定があって、初めて各国それぞれの国益が成り立ちます。日本はインド太平洋との連携を強化し、アメリカにもその重要性を説かなくてはなりません。G7のような多国間協力の枠組みは、これまで以上に国益と世界益をかけた実質的な成果が求められます。日本は、世界のバランスを築く番頭を進んで担うべきです。
一方、国内の景気不安を払拭する政策が必須です。それはSNSでバズるような極論ではなく、過去現在未来を俯瞰した等身大の言葉で向き合うべきです。「ガソリン減税」等、直接家計の支出を抑えられる現実的な策を目指します。
2025.5.11 衆議院議員 馬場 雄基