新しい税の仕組み 給付つき税額控除
20日、東京都は全世帯を対象に、今夏の水道基本料金を無償化する方針を固めました。一方で、地方の自治体では、水道料金の値上げが相次いでいます。人口減と水インフラの老朽化のダブルパンチが地方を直撃しており、赤字回避のため、やむを得ず厳しい決断が迫られているのです。
■無償化の都市と、値上げの地方
この状況を、「地域ごとの判断」で済ませてよいのでしょうか。命の水です。暮らしに欠かせない生命線です。財政に余裕のある自治体は無償が可能でも、財政が厳しい地方では暮らしの負担が住民に重くのしかかります。これは、医療、交通、教育、あらゆる公共サービスにも共通する構造的な課題です。
「地方に住むのも自由だが、負担は自分たちで。」
私は、そんな国にしたくありません。どこで生まれても、どこで育っても、のびのびと一人ひとりの生きがいを持つことができる、その力が国益となる日本を作りたい。一つひとつの地域の文化や多様性を活かすことに、日本の国力の源があると信じています。
地域のインフラを維持するためにも、資本が地方から都市に流れていく経済構造を鑑みても、「富の再分配機能」を税として整える必要があります。
急激な物価高対策として、家計への支援を急ぎます。一方で、SNSをはじめとした、「税はダメだ!減税!」と税の仕組みそのものを否定することには冷静にありたいと思います。税の機能を失えば、資本が集まる大都市だけが残る社会となり、結果として地方はますます立ち行かなくなるのではないでしょうか。
■給付つき税額控除を目指す
大事なのは、社会参加として国民全員が税と向き合うことを前提としながら、所得に応じて負担割合を変えることです。現行の税の仕組みは、左図の通り税額控除の仕組みしかなく、低所得者の方は控除の恩恵を満額受けとれない構造になっています。給付つき税額控除は、税額控除と給付を組み合わせる仕組みです。これが実現すれば、右図のように、働くことで所得に応じた給付や控除が受けられ、手取りが増えます。年収の壁やワーキングプア問題の解決に向けた一手になり得ます。
■名前募集!!
21日の党首討論で、石破首相もこの仕組みに理解を示しました。しかし、なにせネーミングが分かりづらく広がりません。皆さまのお知恵をぜひお貸しください。
2025.5.25 衆議院議員 馬場 雄基