【ばばばんVol.51】お金から読み解く世界

お金から読み解く世界

   異次元の金融緩和政策の終了。「輪転機をぐるぐる回して、日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう」と公言した安倍元首相の肝いり政策が11年経った今年の3月19日に幕を閉じました。

 当初は過度な円高が是正され、企業収益も改善、株価も上昇しましたが、物価は上がりませんでした。ここ最近の物価高は、ご存じの通り、原油高や円安が要因です。

 大規模な政策をバズーカのように発射したまでは良かったのですが、出口戦略がなく、残された課題は複雑です。

 金利のない世界から、ある世界に変わるということは、巨額の利払いが発生することになります。財務省は2027年度の国債の利払い費は15.3兆円と試算しています。24年度の1.6倍です。少子化対策で3.6兆円ですから、なんのために税金を払っているか分からなくなります。加えて、日銀が買い続けたETF(上場投資信託)は簿価で37兆円、時価で71兆円も保有しています。買ったはいいですが、売る時のルールを決めていません。

 なぜ予測できる未来の判断を先送りしたのか、甚だ疑問かつ憤りさえ覚えますが、今を担う私たちが適切に判断し、なんとかしなくてはなりません。

もう一つ、4月8日の財務金融委員会でも取上げましたSDR(IMFの国際準備資産)です。

 これは、世界で流通する通貨の割合をもとに決められるものですが、2000年には15%を保持した日本円は、今では7%にまで低下しています。一方、中国人民元は、2015年に初めて導入され、既に12%に昇っています。この傾向は、今後より顕著になっていくでしょう。

 国際秩序の変化というのは、何も戦争という物理的な行使だけではありません。目に見えない通貨の世界にもあります。安全保障は最後の砦なのです。

 付き合いやすい国とだけ接するのではなく、交渉が難しかろうと粘り強く、経済・外交など一つひとつの分野で国家の命運をかけて挑んでいかなくてはなりません。国益を守り、発展させるためにも、国会議員としての責務を全うしてまいります。